建築家と作る家

家を建てる時、何を重要視するのか。家づくりはそこから始まると思う。我が家の場合、それがデザインだった。だから、 私が依頼した建築家はデザイン性を重視する、いわゆる新進気鋭と言われる人だった。
大まかな要望は、家らしくない家。確かに要望通りだった。外観から、カフェや美容院によく間違えられた。木目のむきやコンセント位置など、建築家のこだわりは細部にまで及んだ。また、家の中の家具、木製サッシ、大きなプランターまでが造作で、既製品はドアノブくらいだった。そこまでこだわると、見た目に統一感も出て、美しいとさえ思えた。しかし、デザイン性を1番にするということにはリスクが伴った。10年住んでみて、よくわかった。例えば、廊下部の天井はガラスで床はコンクリート。当然夏はとても暑く、冬は寒い。現代の住宅の売りにある高気密高断熱といった流れに逆行している。他にも、開口部の鉄製サッシ は雨に濡れて錆びて動かない。玄関扉を含め、六ヶ所ある開口部は玄関以外は開かない。そして、雨漏りもひどい。他にも不具合だらけだ。これから、さらにお金をかけてメンテナンスが必要になる。今さらながら、高いお金を出して買った家がこれでは後悔しかない。
家は3回建ててみて理想の家が建つというようなことを聞いたことがある。確かに納得。今だったら、こう建てるのに…ということをよく考える。この家を建てる当時は考えもしなかった住みやすさということ、自分の希望(建築家との家づくりでは、施主の細かい希望よりデザイン重視された)を大事にした方がいい。今さら悔やんでも、この家のデザインにオッケーを出したのも自分、これからもローンを払い続けるのもこの家に住み続けるのも自分。家づくりは、自分自分(家族も)と言いながら、自分中心でいい。自分がこうしたいことは譲らない。長く住むこと、長く住めること、デザインよりも大事なものがあったことを今、感じている。